先日、実家の書類を整理していた親から「昔入った個人年金、これってどうなってるの?」と聞かれました。調べてみると、これがなかなかの優れもの。今の感覚では考えられないほど条件のよい契約だったのです。同じように、自分や親の保険を「とりあえず持っているだけ」になっている人は多いはず。そこで、個人年金を少しでも有利に活かす考え方を、自分なりに整理してみました。
なぜ昔の契約が「お宝」と呼ばれるのか
個人年金保険は、現役のうちに保険料を払い込み、老後に年金として受け取るしくみです。ポイントは、契約したときの「予定利率」。これが高いほど、お金がよく増えます。
今の時代に新しく契約すると、この利率はかなり控えめ。ところが、ずいぶん前の契約には、現在では考えられないような高い利率が設定されているものがあります。だからこそ「お宝保険」と呼ばれ、下手に解約するのはもったいない、というわけです。もし50代以上で古い個人年金をお持ちなら、まずは証券や約款を引っ張り出して、利率と受取条件を確認する価値は十分にあると思います。
増やす方法その一・受け取りを「後ろにずらす」
公的年金の「繰り下げ受給」は有名ですが、実は個人年金でも、受け取り開始を遅らせることで年金額を増やせる場合があります。たとえば本来60歳から受け取る契約を、65歳スタートに変える、といった具合です。
遅らせているあいだも、保険会社がお金を運用し続けてくれます。とくに契約時の高い利率がそのまま引き継がれるなら、その効果はなかなか大きい。古い契約では、数年ずらすだけで受取額が一段と増えるケースもあるそうです。
注意したいのは、繰り下げできるかどうか、利率が引き継がれるかは契約ごとに違うこと。しかも、わざわざ案内してくれない会社もあります。私のおすすめは、待っていないで自分からコールセンターに問い合わせてみること。「案内が来ていないから無理」と思い込んでいた人が、聞いてみたら実は可能だった——そんな話は珍しくないようです。
増やす方法その二・保険料を「上乗せする」
もうひとつの手が、保険料の増額です。会社によっては、払い込みが終わる数年前までなら、保険料を増やせることがあります。
これが効くのは、やはり古い高利率の契約。「子どもの教育費が一段落して、老後資金に回せる余裕ができた。でも預金に置いても増えない……」という人にとって、利率の高い個人年金を上乗せできるなら、これほど心強い受け皿はありません。iDeCoやNISAを増やす前に、まず手元のお宝保険を増額できないか確認する、という発想は意外と盲点だと感じました。
ただし、増額の申し込みには「払込満了の数年前まで」といった期限があることが多いもの。気になる方は、とにかく早めに保険会社へ確認するのが得策です。会社によっては、繰り下げと増額の両方を組み合わせられることもあり、これがハマると効果は一段と大きくなります。
見落としがちな落とし穴・増えると負担も増える
ここからが大事なところ。年金額が増えるのは嬉しいのですが、増えた分は税金や社会保険料にも影響します。
個人年金を受け取ると、払った保険料を上回る「増えた部分」が雑所得として扱われ、課税の対象になります。公的年金や企業年金、iDeCoなどを同じ時期に受け取ると、それらと合算されて所得が膨らみ、思ったより負担が重くなることもあるのです。
もっとも、収入が公的年金中心なら、現役時代より全体の収入は少ないことが多く、税率が跳ね上がる心配はそれほどないでしょう。気をつけたいのはむしろ社会保険のほう。所得が増えると、国民健康保険料や介護保険料が上がったり、医療費の窓口負担割合や高額療養費の上限が引き上がったりする可能性があります。「額面が増えた=手取りも同じだけ増える」とは限らない、というわけですね。
「いつ受け取るか」は人それぞれでいい
では、繰り下げずに早めに受け取るのはダメなのかというと、そんなことはありません。
たとえば60歳で定年を迎え、その後も社会保険に入って働く期間は、社会保険料は給料に対してかかるだけ。個人年金の受取額が保険料に響きにくいので、給料が下がっていれば税負担もそう増えずに済みます。
それに、人生の事情はさまざまです。「定年後の収入ダウンが急で家計が心配」という人もいれば、「元気なうちに旅行を楽しみたいから、早めに受け取りたい」という人もいる。そういう場合は、無理に繰り下げず、早めに受け取るほうが理にかなっています。
複数の個人年金を持っているなら、片方は早めに受け取り、もう片方は繰り下げて、所得が増える時期を分散させる、という賢い手もあります。逆に、給与収入がまだ多い時期に受取が始まる契約だと、所得が重なって負担が増えることもあるので、ここは要注意です。
結局のところ、額面の大きさだけで決めず、税や社会保険まで含めた「手取り」で考えるのが一番だと、調べながら強く感じました。せっかくのお宝保険、まずは契約内容を確認するところから始めてみてください。とはいえ、約款や税金の話は専門的で頭が痛くなるのも事実。私自身、老後のお金の全体像を学び直すなかで、入門書やマネー講座にずいぶん助けられました。「自分や親の年金を整理したい」という方は、下のリンクから内容だけでものぞいてみてください。最初の地図代わりに、きっと役立つはずです。

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