実家を二世帯にリフォームする前に。見落としがちな「税金」と家族の話し合い ♯262

「実家を建て替えて、親と一緒に暮らそうかと思って」。最近、友人や知人からこういう相談を立て続けに受けました。家賃や住宅価格が上がり続けるなか、実家という資産を活かす選択は、たしかに理にかなって見えます。けれど少し調べてみると、思った以上に注意点が多いことに気づいたので、自分なりに整理してみました。

なぜ今、二世帯が増えているのか

背景はシンプルだと思います。新築の価格も家賃も高止まりし、子育て世代の負担は重い。そこへ「いずれ戻るなら早めに同居したい」という気持ちが重なります。共働きなら、親に子どもを見てもらえる安心感も大きいでしょう。親世代にとっても、将来の介護や経済面でメリットがある。光熱費もまとめられて合理的——そう考える人が増えるのは自然な流れですね。

最初にぶつかる「親名義」という壁

ところが、ここで多くの人が見落とすのが税金の問題でした。実家は親の名義、でもリフォーム費用を出すのは子。この構図のまま数千万円を支払うと、子から親への「贈与」とみなされ、思わぬ贈与税がかかる恐れがあるのです。親はすでに引退して年金生活、新たにローンを組むのも難しい。だからこそ子が負担しがちなのですが、ここを知らずに進めると後で痛い目を見る、というわけです。

壁を越えるための三つのアプローチ

調べていくと、現実的な対処法がいくつか見えてきました。

ひとつめは、リフォーム前に建物の名義を子へ移しておくこと。建物は年数が経つほど評価額が下がるため、現金を渡すより負担を抑えやすいそうです。「自分の家を自分のローンで直す」という形にできれば、いちばんすっきりします。

ふたつめは、相続時精算課税という制度の利用。一定額まで贈与時の課税を先送りできますが、相続のときに精算されるため、節税というより「タイミングの調整」に近い印象でした。どちらが得かは家庭ごとに本当に違うので、ここは税理士に任せるのが正解だと感じます。

みっつめは、省エネ系の補助金を使って費用そのものを下げること。断熱窓や高効率給湯器などが対象になる制度が用意されていますが、対象工事や登録業者の条件が細かく、予算上限で早く締め切られることもあるとか。検討するなら、依頼先に使えるかどうかを早めに確認しておきたいところです。

制度より大事だった「家族の会話」

いろいろ調べて、いちばん腑に落ちたのはここでした。制度の話より先に、家族で腹を割って話すことが何より重要だ、ということです。とくに別に暮らす兄弟姉妹がいるなら、計画の初めに全員の同意を得ておくべき。親が元気なうちは平気でも、相続の場面で「同居した人だけ得をしている」と火種になる例は珍しくないようです。リフォームに資金を出した子が安心して住み続けられるよう、遺言を残してもらうのも有効な備えだと知りました。

同居している子が相続すると土地の評価を大きく下げられる特例もありますが、「節税になるから」という損得だけで決めるのは危ういと思います。実際、生活リズムの違いから一年も経たず「やっぱり別に暮らしたい」となる人もいるそうで……。お金の前に、どんな暮らしをしたいか、介護はどうするか。そこをすり合わせることが、結局は資金計画を成功させる近道なのでしょう。

設計の段階で将来まで見据えるのも大切だと感じました。生活空間を完全に分けておけば、いずれ片方を賃貸に回す道も残せます。ただし分離型は買い手が限られ、売りにくい面もあるとのこと。一長一短ですね。

結局のところ、二世帯の暮らしはお互いへの思いやりがあってこそ成り立つもの。家は買って終わり、直して終わりではなく、これからの暮らしを守るスタート地点なのだと、あらためて思いました。もし本格的に検討するなら、家計や相続まで含めて整理できる入門書やプランニング講座から始めると、頭がずいぶん整理されます。私も最初の一冊に助けられました。気になる方は下のリンクから内容だけでも覗いてみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました