ファイナンシャルプランナーとして仕事をしていると、シニア世代の住まいに関する相談がここ数年で目に見えて増えてきました。「子どもが巣立って夫婦には家が広すぎる」「庭や家の手入れがしんどくなった」——そんな声を本当によく耳にします。人生100年時代、ライフステージに合わせて住み替えを考えるのは、ごく自然なことですよね。
まずは資金調達の選択肢を整理しよう
住み替え資金の作り方として一番わかりやすいのは「自宅の売却」です。コンパクトな住まいや利便性の高いエリアへ移る、いわゆるダウンサイジングをすれば、差額をそのまま老後資金に回せます。
「住み慣れた家を離れたくない」という方には「リースバック」という手も。自宅をいったん売却し、その後は賃貸として住み続ける仕組みですね。まとまった現金が入る反面、たとえば2000万円で売って家賃が月20万円なら、計算上10年で資金が底をつきます。何にいくら使うのか、ライフプラン全体を見渡して判断したいところです。
注目される「リバースモーゲージ」とは
新居を買いたいけれど年金収入では住宅ローンが組みにくい——そんなときの有力候補が、自宅を担保にお金を借りる「リバースモーゲージ」です。毎月の支払いは利息だけで済み、元金は契約者が亡くなった際に物件を売却して一括返済する仕組みになっています。
たとえば郊外の戸建てから駅近マンションへ移りたい場合、売却額だけでは足りなくても、不足分をこの制度で補えば預貯金を大きく削らずに新生活をスタートできます。住宅金融支援機構の【リ・バース60】なら、住み替えだけでなく建築やリフォームにも使え、民間商品によっては生活資金まで対象になるケースもあるんです。
市場は拡大中、でも注意点も
実際、市場は伸びています。【リ・バース60】の2024年度の申請額は累計約1490億円(前年度1247億円)に達し、利用者の平均年齢は69.5歳、平均融資額は約1667万円。用途では注文住宅が33%、戸建てリフォームが24%と続きます。
ただし油断は禁物。金利は変動型が主流なので上昇リスクがありますし、あくまで「借金」である点は変わりません。担保売却額がローン残高を下回っても返済義務が生じない「ノンリコース型」を選ばないと、相続人に思わぬ負担が残ることもあるんですね。
何より大切なのは「家族会議」
この制度は契約者の死後に物件を売って返済するため、相続人の協力が欠かせません。亡くなった後、家族が「一括返済して家を継ぐ」か「売却して返す」かの判断を迫られるからです。だからこそ、親が元気なうちに住まいや資産について家族全員で話し合っておくことが、後のトラブル防止に直結します。
FPとしては、100歳までのキャッシュフロー表を作って金利上昇にも耐えられるかを確認するようにしています。お金の知識だけでなく、相続や介護まで含めて寄り添うことが、これからますます求められていくのだと感じています。

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