ニュースで「米国経済」「トランプ関税」という言葉を見ない日がありません。投資をしている身としては気になるところですが、断片的な情報ばかりでなかなか全体像がつかめない。そこで、いま米国経済に何が起きているのか、そして日本にどう跳ね返ってくるのかを、自分の頭の整理も兼ねてまとめてみました。
数字の裏を読むと、すでに減速している
直近のGDP成長率だけ見ると、米国経済は意外としっかりしているように映ります。けれど、その前の時期が落ち込んでいた反動で高く見えている面が大きいようです。表面の数字に惑わされず、もう一歩踏み込む必要があると感じました。
実体に近い指標、たとえば個人消費や設備投資、住宅投資を合わせた需要の動きは、明らかに鈍ってきています。さらに気になるのが雇用。新たに生まれる仕事の増えるペースが急速に細っており、好景気の目安とされる水準を大きく下回る月も出てきました。こうして見ると、「米国経済はすでに減速している」と考えるのが自然だと思います。
減速の理由は、二つ重なっている
では、なぜ減速しているのか。大きく二つの要因が重なっていると理解しました。
ひとつは、金融引き締めの効果がいまになって効き始めていること。米国は数年前から金利を大きく引き上げ、その後少しずつ緩めてきましたが、それでもまだ「引き締めを弱めた」段階にすぎません。緩和でも引き締めでもない中立の水準より、まだ高い位置にある。つまり、ブレーキは今もかかったままなのです。
もうひとつが、いわゆるトランプ関税です。関税は二つの経路で経済に効いてきます。ひとつは物価を押し上げて消費を冷やす経路、もうひとつは「この先どうなるか読めない」という不確実性が、消費や投資を様子見にさせる経路。今のところ、後者の「先行き不安による買い控え・投資控え」のほうが先に表れているようです。
関税が金融政策を難しくする
厄介なのは、この関税が中央銀行(FRB)の舵取りを一気に難しくしている点です。平均的な関税の水準は歴史的に見ても高いところまで上がる見込みで、その分だけ物価が押し上げられると試算されています。
本来インフレを抑えたい局面で、関税という新たな物価上昇要因が加わる。すると「インフレを抑えるため金利を据え置くべきか、それとも景気の悪化を防ぐため利下げすべきか」という、相反する判断を同時に迫られます。これは中央銀行にとって、かなり悩ましい状況だと言えるでしょう。
当面は「景気後退」と「市場の混乱」に注意
未知数の要素が加わったことで、米国経済がソフトに着地できるのか、それとも急降下するのか、見極めが難しくなっています。対中交渉をはじめ、関税そのものの行方にも不透明さが残ります。
市場は「方向感が見えないとき」に最も荒れやすいもの。まさに今がその状態です。とくに私が注目しているのは、ドルの総合的な実力を示す指標の動き。政権発足前後に大きく上下しており、これは政策の分かりにくさが背景にあると見ています。期待でドルが買われ、不信で売られる——この振れ幅の大きさ自体が、市場の不安定さを物語っています。利下げをしても長期金利が下がりにくい事情もあり、緩和の効果が出にくい可能性にも気をつけたいところです。
市場が落ち着くには、関税の影響がひと通り出尽くすのを待つ必要がありそうです。引き上げから一年ほど経てば、物価への影響が見えてきて、金融政策の方向も定まってくるはず。それまでは荒れ模様を覚悟しておくのが賢明だと思います。
対岸の火事ではない、日本への波及
米国の話は、私たち日本の暮らしにも跳ね返ってきます。代表的なのが為替です。米国が利下げに向かえば、流れとしてはドル安・円高に傾くでしょう。問題はそのスピード。ゆるやかな円高なら、輸出企業の利益が減るマイナスより、輸入物価が抑えられて家計が助かるメリットのほうが上回るかもしれません。
ところが、米国が急ブレーキをかけて一気に利下げするような事態になれば、円高が急激に進み、世界経済の停滞も重なって輸出企業に大きな打撃となりかねません。企業業績が悪化すれば、賃上げや雇用にも影を落とし、消費の回復が遠のいて、日本まで景気後退に引きずられる恐れがあります。
だからこそ、米国経済の悪化や円高が日本の企業収益や物価にどこまで響くのか、輸出産業のマイナスと内需産業のプラスを分けて冷静に見ていく必要があるのだと感じました。
ひとまずの整理
長くなったので、自分なりの結論をまとめておきます。米国経済はすでに減速していて、その背景には金融引き締めと関税による不確実性がある。関税は金融政策の舵取りを難しくし、当面は景気後退と市場の混乱に注意が要る。そして米国が後退局面に入れば、日本経済も腰折れしかねない——おおむね、こんな見取り図です。
もちろん、これは現時点での見立てにすぎず、状況は刻々と動きます。経済の大きな流れを自分で読めるようになると、ニュースの受け止め方も投資の判断もぐっと変わってくると実感しています。私自身、経済の基礎を学び直すなかで、入門書やオンライン講座にずいぶん助けられました。「ニュースをもっと自分の言葉で理解したい」という方は、下のリンクから内容だけでものぞいてみてください。

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