「生命保険」シリーズの第6回は、病気やケガで働けなくなったときに頼れる「就業不能保険」を取り上げます。社会保障の仕組みと合わせて、その必要性を一緒に考えていきましょう。
治療費より深刻な「収入が途絶える」リスク
就業不能保険は、長期間働けなくなって収入が減ってしまうリスクに備える保険です。治療費に対しては医療保険で備える方が多いものの、「働けない間の生活費」まで考えている方は意外と少ないのではないでしょうか。
医療技術が進み救命率が高まった今、家計の視点では「死亡」よりも、治療費に加えて収入まで失う「働けないリスク」のほうが、長期化すると深刻だという指摘もあります。実際、ある全国調査では世帯主が働けなくなることに不安を感じる人が74.6%にのぼる一方、就業不能保険などで備えている世帯は17.2%にとどまっています。この大きなギャップこそ、いま関心が高まっている理由でしょう。
似て非なる3つの保険を区別する
働けないときに備える保険には、就業不能保険のほかに収入保障保険、所得補償保険があります。
就業不能保険と所得補償保険は「本人が働けなくなったときの生活費」が目的なのに対し、収入保障保険は「万一のときに残された家族の生活費」を主眼に置いています。また就業不能保険・収入保障保険は生命保険会社が扱い保険期間も長期ですが、所得補償保険は損害保険会社の商品で1〜数年と短期。免責期間や給付条件も異なるため、まずはタイプの違いを正しく押さえることが肝心です。
会社員と自営業で「手厚さ」が大きく違う
備えを考える出発点は、公的制度でどこまで守られるかを知ることです。
会社員や公務員なら、まず有給休暇、その後は健康保険の傷病手当金が頼りになります。これは連続3日の待機後、4日目から最長1年6カ月、給与のおよそ3分の2が支給される仕組みです。それを超えても働けなければ障害年金(基礎+厚生)が受けられますし、勤務先が「団体長期障害所得補償保険(GLTD)」に加入していれば、さらに手厚い補償が期待できます。
一方、自営業やフリーランスは事情が厳しくなります。傷病手当金がなく、収入は途絶えたまま。障害年金も基礎年金のみで、1・2級の認定が必要なうえ、1年6カ月を待たねば受け取れません。つまり、自力で備える必要性がより高い立場といえます。
加入前に確かめたいチェックポイント
就業不能保険は商品ごとに条件が細かく異なります。比較の際は次の点をよく見てください。
給付の判断が保険会社の「独自基準」か「公的制度連動」か。在宅療養がどう定義されるか。復職後や再発時の給付はどうなるか。給付開始までの免責日数は何日か。うつ病など精神疾患が対象に含まれるか。さらに、当初一定期間は給付金が半額になる「ハーフタイプ」の有無、保険期間と給付期間の長さ、そして単独で入るか収入保障保険に付帯するか――。
保障を手厚くすればその分だけ保険料も上がります。免責を短くすれば高く、ハーフタイプにすれば安く、といった具合です。保障と保険料のバランス、そして優先順位を冷静に見極めることが欠かせません。
いまの就業不能保険事情
社会が複雑化する今、難病や精神疾患は世代を問わず誰にでも起こりうるもの。本来ニーズの高い商品ですが、不正請求などの問題から短期型の販売を取りやめる会社も出ています。
その一方で、精神疾患対応型や在宅療養でも給付される商品は増えてきました。とりわけ公的制度が手薄な自営業・フリーランスの方は、制度の隙間を補う形で、上手に活用を検討したい保険といえるでしょう。

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