「経済動向」シリーズの第6回は、2026年の世界経済がどこへ向かうのかを整理してみたいと思います。足元の株価を眺めると楽観論が優勢ですが、トランプ関税の影響が本格化する年度末にかけては、いったん減速する局面もありそうです。とはいえ2026年度に入れば関税要因が一巡し、減税効果も相まって回復基調へ転じると私は見ています。
米国──春先に持ち直しへ
米国では雇用の増加ペースが鈍り、そこへ関税による物価上昇が重なって景気が減速しています。ただ2026年春頃には関税の影響が落ち着き、トランプ減税や金融緩和が下支えとなって持ち直すでしょう。
注目したいのは、関税が消費者物価をどこまで押し上げるか、そして雇用の停滞がいつまで続くかという2点です。さらに低所得者向けの追加減税(3年で4,000億ドル超)はGDPを0.2〜0.5%ほど押し上げると見込まれます。政策金利は4.0%まで下がりましたが、中立水準とされる3%まではまだ1%の開き。利下げのペースと、それが株価・消費へ及ぼす効果からも目が離せません。
中国──デフレ圧力と不動産調整が重し
米中の関税交渉は、追加関税の一部停止延長やフェンタニル関税の引き下げで合意し、ひとまず懸念は後退しました。とはいえ国内では地方の過度な誘致競争が過剰生産を招き、低価格競争がデフレ圧力につながっています。政府は「反内巻き」政策で是正に動き出したものの、まだ緒に就いたばかりです。
不動産市場の調整も続いており、私たちは「全治3年」と見立ててきました。住宅価格が下げ止まれば峠を越えたサインといえるでしょう。加えて「第15次5カ年計画」でどんな具体策が示されるか、追加の景気対策が打ち出されるかも注視したいところです。
日本──新政権の経済政策がカギ
日本の先行きは、新政権の経済政策に大きく左右されます。年内には補正予算が編成され、物価高が落ち着けば個人消費が回復し、2026年の景気を支えることになりそうです。
焦点は物価高対策の中身と効果、そして財政支出と健全化のバランス。金融面では利上げのペースと為替の動きが重要で、円安が物価高を長引かせるのか、春闘の賃上げがどう出るのかも見逃せません。需給ギャップがほぼ解消した今、成長のカギは供給力――企業の設備投資計画にこそ注目すべきでしょう。
2026年を読み解く5つのキーワード
ひとつは米国の中間選挙。勝利を狙う政権は景気拡大に執着する一方、想定外の強引な政策を打つ恐れもあります。次に中国の5カ年計画、そして日本の経済正常化――2%目標を達成し、健全なインフレ経済を取り戻せるかが問われます。さらに日米の中立金利をめぐる市場の見方、最後に米国株を中心とした資産バブルのリスク。割高ゾーンに入りつつある日本株や不動産にも警戒が必要です。
暮らしへの影響は
これらは私たちの生活にも直結します。円安が長引けば物価高が家計を圧迫しますが、円高に振れれば実質所得の増加が期待できます。インフレが定着すれば「先に買うほうが得」という心理が強まり、資産運用のニーズも高まるでしょう。また人手不足は続く見通しで、労働者には売り手市場が続く一方、スキルの有無が待遇を大きく左右する時代になりそうです。
まとめ
2026年度に入れば、世界経済は回復へ向かう公算が大きいといえます。米国は物価・雇用・減税、中国は関税交渉・住宅価格・5カ年計画、日本は金融政策・為替・春闘・設備投資がチェックポイント。そして資産バブルのリスクにも、くれぐれもご用心を。
(本記事は2025年10月31日時点の情報をもとにしています)

コメント