【終活準備】おひとりさまが安心して暮らすための「5つの備え」とは ♯274

相続や終活の相談を受けていると、近年とくに増えているのが「おひとりさま」からのご依頼です。最終回となる今回は、私が現場で実感してきた「後悔しない備え方」をお話ししたいと思います。

軸になるのは「4つの契約書+遺言書」

おひとりさまの終活で土台になるのが、4つの契約書と遺言書、合わせて5つの備えです。

生前の生活サポートとして用意したいのが、①見守り契約(月5,000円〜)、②財産管理等委任契約(月3万円〜)、③任意後見契約(月3万円〜)。そして死後のために整えておきたいのが、④死後事務委任契約(30万円〜)、⑤遺言書(30万円〜)です。なお、これとは別に作成時の専門家報酬や公証役場の手数料もかかります。

おひとりさまといっても状況はさまざまですから、ケースごとに必要な備えは変わってきます。

タイプ別に考える備え方

甥や姪など頼れる親族がいる方は、その方々と②財産管理等委任契約や③任意後見契約を結んでおくと安心でしょう。代理手続きの際に委任状を求められても困らずに済みます。

頼れる親族がまったくいない方は、5つすべてを整えるのが理想ですが、費用が不安なら、生前は行政・福祉サービスを活用し、最低限④死後事務委任契約と⑤遺言書だけは準備しておきたいところです。

子どものいないご夫婦も油断は禁物。どちらかが先に旅立ったとき、そして2人とも亡くなったときに財産を誰へ渡すのか、元気なうちに話し合っておく必要があります。

「死亡届」という意外な落とし穴

ここで知っておいてほしいのが、死亡届の届出人になれるのは親族や家主などに限られる、という点です。死後事務委任契約の受任者では記入できません。

そのため、近くに親族がいない方は、③任意後見契約も併せて検討するのがおすすめです。死亡届が遅れると火葬許可が下りず、葬儀まで時間がかかってしまうこともあるからです。

「とりあえず遺言書だけ」が後悔のもと

「まずは遺言書だけでも」と急ぐ方は少なくありません。けれど全体像を描かないまま作ってしまうと、後で困る場面が出てきます。

たとえば遺言執行者に指定した専門家が死後事務を引き受けていない場合、別の受任者を探す羽目になり、200〜300万円もの預託金を求められることもあるのです。順番としては、まず一人の専門家に全体を相談し、その結論として遺言書を作る――この流れが安心といえるでしょう。

相性も「年齢差」も大切な選ぶ基準

専門家に依頼すれば、必要な契約を包括的に組み立ててもらえますし、税理士などのネットワークも頼りになります。費用は5つの契約セットで15〜50万円、公証役場の手数料が8〜17万円ほど。決して安くはありませんが、周囲に迷惑をかけないための投資と考えれば納得できるはずです。

選ぶ際は、費用だけでなく相性や経験、そして年齢差も見てください。理想は20歳ほど離れた相手。万一その専門家にもしものことがあったとき、引き継いでくれる人がいるかも必ず確認しておきましょう。

備えは、できるときにしておかなければ難しくなります。健康や趣味、心地よい居場所も大切にしながら、これからの人生をどう過ごしたいか、一度立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。

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