【年金繰り下げ】増額の裏に潜む“5つの落とし穴”を体験から語ります ♯273

ファイナンシャル相談の現場に身を置いて十数年。「年金は繰り下げた方が得らしい」と前のめりになる60代の方に、私は本当に何度も出会ってきました。

たしかに受給を1カ月遅らせるごとに0.7%、5年で42%、10年なら84%も増える――数字だけ見れば、とても魅力的ですよね。

ただ、私が必ずお伝えするのは「増額=手取り増ではない」という現実です。たとえば年金収入240万円なら手取りは約207万円ですが、300万円に増えても手取りは251万円ほど。額面が60万円増えても、社会保険料や税の影響で実際に増えるのは44万円程度にとどまるのです。損益分岐とされる82歳も、手取りで考えれば2~3歳ほど後ろにずれていくでしょう。

見落としがちな“5つの落とし穴”

注意したい点は、ほかにもいくつもあります。

①厚生年金を繰り下げている間は加給年金がもらえません。②遺族厚生年金は繰り下げ前の額が基準になります。③医療費の自己負担が1割から3割へ跳ね上がる「現役並み所得者」に該当しやすくなります。④介護サービス費の負担割合や上限額も、いつのまにか重くなることがあるのです。

年金が増えた結果、かえって生活設計が苦しくなる方を、私は実際に見てきました。

意外な盲点、iDeCoとの関係

さらに見落とされがちなのが、iDeCoとの関係でしょう。

2027年からは最長70歳まで掛金を出せるようになりますが、その条件は「老齢基礎年金を受け取っていないこと」。つまり70歳までiDeCoを続けたいなら、基礎年金は繰り下げる必要があるわけですね。

それでも、選ぶのはあなた自身

繰り下げは決して悪手ではありません。ただ「知らなかった」では済まされない論点が多いのも事実。

ご自身の価値観とお金の使い方に合った選択を、ぜひ後悔なく選んでいただきたいと願っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました