マンション法改正で決議要件はどう変わる? ♯337

2026年4月から区分所有法などマンション関係法令の改正が順次施行されています。決議要件の緩和や管理組合の権限強化など、マンションの管理・運営に関わる方なら知っておきたい変更点を整理しました。

マンション法改正の全体像

老朽化と担い手不足という課題

築年数の古いマンションが増える一方、管理組合の役員のなり手が不足している――こうした課題を背景に、政府は区分所有法やマンション管理適正化法を含む関係法令の見直しを進めてきました。2026年4月からの施行により、決議のハードルや管理組合の権限に関するルールが大きく変わります。〔出典:国土交通省 住宅局「令和7年マンション関係法改正とこれからのマンション管理」2025年10月26日〕

改正が目指す方向性

今回の改正で特に意識されているのが、「無関心な区分所有者」や「所在不明者」の存在によって合意形成が進まないという問題への対応です。決議の仕組みを見直すことで、老朽化対策や修繕がスムーズに進むことが期待されています。

決議要件はどこが変わったのか

マンションの意思決定に関わる決議ルールが、実務的にどう変わったのか見ていきます。

出席者ベースの多数決に変更

従来、普通決議などは区分所有者全員を母数にした多数決で決定していましたが、改正後は建て替え決議などの一部を除き、集会(管理規約上の総会)に出席した区分所有者の多数決で決議できる仕組みが導入されました。出欠を取りやすくなることで、決議自体が進みやすくなる可能性があります。

所在不明者の扱いと決議要件の引き下げ

所在不明の区分所有者については、裁判所の認定を受けることで決議の母数から除外できる制度が新たに設けられています。また、耐震補強やバリアフリー化など建物の安全性・機能向上に関わる共用部分の変更決議は、要件が以下のように緩和されました。

決議の種類改正前改正後
共用部分の変更(安全性・機能向上目的)4分の3以上3分の2以上
普通決議の母数全区分所有者集会出席者(建て替え決議等を除く)

管理組合の実務にどう影響するか

決議要件が緩和されたことで、これまで合意形成が難航していた大規模修繕や耐震補強の議案も進めやすくなる可能性があります。ただし、要件緩和が万能というわけではなく、区分所有者間の丁寧な合意形成は引き続き重要です。マンション管理の専門家やコンサルタントに相談しながら進めるのも一つの選択肢です。

管理組合・管理者の権限が明確に

「うちの管理組合、権限があいまいで対応が遅れがち」――そんな悩みを持つ方に関係する変更点です。

管理不全への対応と財産管理制度

専有部分や共有部分の管理不全によって他人の権利が侵害される恐れがある場合、裁判所が「管理人」を選任し、管理や処分を行える制度が創設されました。所在等不明区分所有者の専有部分に特化した財産管理制度も新設され、選任された管理人は裁判所の許可を得たうえで、対象の専有部分を売却することも可能になっています。

損害賠償請求や利益相反防止のルール

分譲事業者が瑕疵のあるマンションを販売した場合、区分所有権が転売されていても、管理者(管理組合)が旧区分所有者を含めて一括で損害賠償請求できるようになりました。また、管理業者が管理組合の代表を兼ねるケースでは、利益相反を防ぐため、取引に先立って区分所有者への事前説明会の開催が義務付けられています。

以下のような対応が、今後の管理実務では意識されることになりそうです。

  1. 管理規約の見直し・改定の検討
  2. 決議要件の変更点を総会資料に反映
  3. 所在不明者がいる場合の対応フローの確認

まとめ

  • 2026年4月から区分所有法などマンション関係法令の改正が順次施行
  • 普通決議は出席者ベースの多数決に、安全性向上のための決議要件も緩和
  • 管理不全対応の財産管理制度や、管理者の権限明確化も実施
  • 制度の詳細や最新の施行状況は国土交通省の公式資料での確認がおすすめ

マンションの管理規約見直しや修繕計画の相談を検討している方は、まず管理会社や専門家に現状を確認してみてはいかがでしょうか。

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