ひとり親の相続手続きはどうしたらいいのか?備えについて解説 ♯309

「自分に何かあったら、子どもはどうなるのか」——ひとり親家庭にとって、相続手続きは大きな不安の種です。本記事では、ひとり親が亡くなった際の相続手続きと、生前にできる備えを解説します。

ひとり親が亡くなった際の相続手続き

多くの人が知らない、ひとり親特有の相続手続きの落とし穴について解説します。

未成年の子は単独で協議できない

親が亡くなった場合、第一順位の法定相続人はその子どもです。しかし、子どもが未成年の場合、民法上の「制限行為能力者」(単独で完全な法律行為ができないとされる人)にあたるため、遺産分割協議などを単独で行うことができません〔民法第5条に基づく〕。通常は親権者が代理人となりますが、ひとり親のケースでは代理すべき親権者が不在となる点が大きな課題です。

未成年後見人の選任が必要

この場合、家庭裁判所に対して「未成年後見人」の選任申し立てが必要になります。遺言で後見人が指定されていない場合は、親族などが申立人となり、裁判所が親族や弁護士などの中から適任者を選任します。また、離婚した元配偶者が親権取得を希望する場合は、別途、親権者変更審判の申し立てが必要です〔出典:裁判所公式サイト「未成年後見人選任」〕。

もしもの時に備えたい3つの対策

「もし自分に何かあったら」を、今すぐ確認すべき3つのポイントとして整理しました。

遺言書で後見人を指定する

遺言書で未成年後見人をあらかじめ指定しておくことで、家庭裁判所による選任手続きがスムーズになり、信頼できる人物に子の養育や財産管理を託せる可能性があります。作成にあたっては、専門家への相談も検討しましょう。

生命保険の活用と受取確認

死亡保険金は受取人固有の財産となり、遺産分割協議を待たずに受け取れる点がメリットです。ただし、受取人が未成年の場合は受取手続きに後見人の関与が必要になるため、生前に加入状況を子や親族に伝え、受取手続きや管理方法について相談しておくとよいでしょう。※保険商品の内容は各社により異なります。

資産状況を一覧化しておく

預貯金、保険、ローン、スマートフォンのパスワードなどを一覧にまとめておくと、万一の際も相続手続きが比較的スムーズに進みやすくなります。以下のような項目を整理しておくと安心です。

  1. 預貯金口座の金融機関名・支店名
  2. 加入している保険会社と証券番号
  3. ローンなどの負債状況
  4. スマートフォン・各種サービスのID・パスワード

備えの有無で変わる相続手続きの負担

項目備えがない場合備えがある場合
後見人の選任裁判所選任まで時間がかかる可能性遺言指定でスムーズになる可能性
保険金の受取手続きの流れが分かりにくい事前共有で対応しやすい
資産の把握調査に時間と手間がかかる一覧化で早期に着手可能

※効果には個人差があり、家庭裁判所の判断や個別事情により結果は異なります。

まとめ

  • ひとり親の相続では、未成年後見人の選任が必要になるケースが多い
  • 遺言書での後見人指定、生命保険の活用、資産の一覧化が有効な備えとなる
  • 手続きの負担を減らすためにも、早めの準備と専門家への相談が望ましい

もしもの時に子どもが困らないよう、まずは資産の棚卸しから始めてみてはいかがでしょうか。

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