【出口戦略】貯めた資産はどう取り崩す?老後に後悔しない引き出し方の基本 ♯279

資産運用シリーズもいよいよ大詰め。今回は「ゴールが近づいたとき」と「実際に取り崩しを始めるとき」の考え方について、私がお客様にお伝えしているポイントをまとめてみました。せっかく増やした資産も、出口を誤ると一気に目減りしてしまうので、ここはしっかり押さえておきたいところです。

ゴール手前ではリスクを徐々に落とす

運用の最終目的が老後資金という方は多いはず。確定拠出年金(DC)なら60〜65歳まで積み立て、その後受け取るプランが一般的でしょう。

このとき大切なのが、受け取り時期の数年前からリスクを下げておくこと。直前に相場が急落したら、老後設計が根底から揺らいでしまいます。具体的には、株式100%の投信を債券入りのバランス型へスイッチングしたり、毎月の拠出割合を投信50%・元本確保型50%に組み替えたりする方法があります。

もう一つは、少しずつ売却していくやり方。65歳で一時金受取を予定しているなら、60歳から毎年5分の1ずつ投信を売って定期預金に移せば、65歳でリスク資産はゼロに。売却完了まで保有を続けるので、上昇局面の値上がり益もある程度は取り込めるんですよね。

なお60歳以降も働く場合、iDeCoは65歳まで拠出可能で、2027年1月からは70歳までに延長予定。運用自体は最長75歳まで非課税で続けられます。NISAは年齢上限がない分、「いつまでリスク資産を持つか」を自分で決めて、数年前から備える意識が欠かせません。

「定額」より「定率」が資産を長持ちさせる

取り崩しには、毎回同じ金額を引き出す「定額」と、その時の残高の一定割合を引き出す「定率」があります。

定額はわかりやすく生活設計しやすい反面、価格が安いときほど多く売る形になり、平均売却単価を下げてしまう弱点が。積立時のドルコスト平均法が、取り崩しでは逆に作用してしまうわけです。特に開始直後の急落は致命傷になりかねません。

元本1000万円で試算すると、開始初期に下落した場合、7年後の「引き出し累計+残高」は定額889万円に対し定率957万円。定率のほうが資産寿命を確実に延ばせます。

定率の弱点は「口座の分け方」でカバー

ただ定率は毎回の受取額が変動し、生活設計が立てにくいのが難点。そこで私がおすすめしているのが、目的別に口座を分ける方法です。

  • 今後2〜3年の生活補填分は普通預金・定期預金に置き、必要な分だけ取り崩す
  • 残りは株式や外国債券で運用し、定率で引き出した分を生活用口座へ移す
  • 市況低迷時に株式を売らずに済むよう、一部を国内債券型ファンドで持ち、そちらから先に取り崩す

ネット証券には投信の定期売却サービスもあるので、手間を省きたい方は活用すると便利です。

高齢期の運用は「10年使わない資金」で

インフレが顕在化した今、資産価値を守るにはリタイア後もある程度の運用が必要です。リタイア前にキャッシュフロー表を作り、今後10年の不足額+予備費300〜500万円を預貯金や個人向け国債で確保し、それ以外を投資に回すのが一つの形。

60代半ばで退職しても75歳までの約10年は運用を続けられる可能性があります。途中で下落しても次の上昇を待てる時間軸が、リスクを和らげてくれるんです。

最後に注意点を一つ。2026年1月以降は退職一時金の受取時期によって退職所得控除が減るケースがあります。退職金や企業型DCは「一部一時金・一部年金」と選べる場合も多いので、税金まで見据えて受け取り方を検討してくださいね。

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