【終活・相続】悔いのないお墓選びと、墓じまいの進め方 ♯258

■ お墓は「相続財産」ではない

「遺骨は散骨してくれればいい」——そう軽く考える方もいますが、お墓や供養のかたちは、自分と残される家族の双方にとって大切なテーマです。まず知っておきたいのは、お墓や仏壇が**「祭祀財産」にあたり、預貯金などの相続財産とは区別されるという点。そのため、これらを引き継ぐ祭祀承継者は相続人でなくてもかまいません**。原則1人とされ、生前の指名や遺言、地域の慣習などで決まりますが、話し合いがつかなければ家庭裁判所が判断します。

お墓を管理する人(祭祀主宰者)は、墓地の規約の範囲内で「誰を納めるか」を決められます。「同じお墓に入れますか?」とよく尋ねられますが、答えは”管理者が認めれば可能”ということになります。

これから用意する場合は、「既存の親族のお墓に入る」か「新たに購入する」のが主な選択肢です。生前購入には、自分の希望どおりに選べる・自分の資金で準備できるという利点がある一方、返還や転売が難しく、災害で破損する恐れや維持費がかかる点には注意が必要でしょう。

■ 多様化する供養のかたち

近年は供養の選択肢が広がっています。永代供養墓(多くは他の方と一緒に納める合葬墓)は費用を抑えやすい反面、後から特定の遺骨だけ取り出すことはできません。樹木葬納骨堂を選ぶ際は、「1区画に何人分まで納められるか」を必ず確認しておきましょう。墓地によって条件が大きく異なるためです。

ここで見落としがちなのが供養期間の落とし穴です。たとえば夫婦で入るつもりでも、契約内容によっては、先に納骨した人の供養期間が満了し、後から亡くなった配偶者が同じお墓に入れない、という事態も起こりえます。複数人で入る予定なら、長めの期間や「最後の納骨から起算する」契約を選ぶと安心です。

散骨は専門業者に依頼するのが基本(条例で禁止された場所もあります)。手元供養はミニ骨壺やアクセサリー加工などさまざまな形がありますが、「最終的に誰がどう供養を締めくくるか」まで考えておきたいところです。散骨をすべて行った後に「手を合わせる対象がなくなって寂しい」と悔やむ方もいるため、一部を手元に残す選択も覚えておくとよいでしょう。

■ 墓じまいは「親族の意向確認」から

お墓は土地を買うのではなく「永代使用権」を得る形です。承継者がいなくなれば、更地にして返還する「墓じまい」が必要になります。

進める際の第一歩は、親族に承継の意思があるか確認すること。誰も継がないとわかって初めて墓じまいへ進みます。この確認は、後のトラブルを避けるうえでも欠かせません。

遺骨を別の場所へ移す場合は改葬手続きが必要です。大まかには、①親族・墓地管理者へ相談 → ②移転先から受入証明を取得 → ③役所で改葬許可を得る → ④閉眼供養のうえ遺骨を取り出し、墓所を更地に → ⑤新しい場所で開眼供養・納骨、という流れになります。寺院との関係では「離檀料」が気になるところですが、これまでの感謝を形にする気持ちで臨むと円満に進みやすいでしょう。

最後にお伝えしたいのは、「供養する心」を手放さないでほしいということ。永代供養に移しても、ぜひお墓参りは続けてください。供養は故人のためであると同時に、残された人の心の支えにもなります。「もっときちんと供養すればよかった」と悔やむ方は多くても、手厚く供養して後悔する人にはなかなか出会いません。終活では、ぜひその視点を大切にしていただきたいと思います。

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