突然訪れる家族の介護。それは誰にでも起こりうる現実です。令和4年の調査では、介護・看護を理由に仕事を辞めた人は年間10.6万人にのぼり、5年前と比べて約7,000人も増加しています。この数字の背後には、キャリアの中断や経済的困窮など、深刻な問題が潜んでいます。
なぜ介護離職が増えているのか
介護を担う多くは40代から50代の働き盛り世代。管理職として組織の中核を担う人も少なくありません。突然始まった介護が長期化すると、仕事との両立が困難になり、やむを得ず退職を選ぶケースが後を絶ちません。
しかし、離職後に待っているのは厳しい現実です。収入が途絶えることで、十分な介護サービスを受けられなくなったり、自身の老後資金が枯渇したりと、新たな問題が生まれてきます。
仕事を続けながら介護する方法
実は、介護離職を防ぐための制度は既に整備されています。まず押さえておきたいのが以下の2つです。
介護休業制度
- 対象家族1人につき通算93日間取得可能
- 最大3回まで分割して利用できる
- 介護の体制づくりや施設探しなど、長期的な準備に活用
介護休暇制度
- 対象家族1人につき年5日間取得可能
- 時間単位での取得も可能(業務により異なる)
- 通院の付き添いや急な対応に便利
2025年から変わる職場環境
来年4月からは、企業に対して介護支援制度の周知が義務化されます。具体的には、短時間勤務、フレックスタイム、時差出勤、介護費用補助のいずれかを導入し、従業員が利用しやすい環境を整えなければなりません。
これにより、今まで「言い出しにくい」と感じていた人も、堂々と制度を活用できるようになります。
介護を一人で抱え込まない
介護保険サービスの活用も重要なポイントです。訪問介護、デイサービス、ショートステイなどを組み合わせることで、介護の負担を大幅に軽減できます。地域包括支援センターでは、無料で介護相談を受け付けているので、まずは専門家に相談してみましょう。
また、職場の上司や同僚に状況を伝え、理解と協力を得ることも大切です。介護は誰もが直面する可能性がある問題。お互い様の精神で支え合える職場環境づくりが求められています。
今からできる準備
介護はある日突然始まります。その時に慌てないよう、以下の準備をしておくことをお勧めします。
- 勤務先の介護支援制度を確認する
- 地域の介護サービスについて調べておく
- 家族間で介護についての話し合いをする
- 介護費用に備えた貯蓄を始める
介護離職は、本人にとっても家族にとっても大きな損失です。制度を上手に活用し、仕事と介護の両立を実現することで、経済的な安定と介護の質、両方を守ることができます。一人で悩まず、使える制度は積極的に活用していきましょう。

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