インフレ対策を円建てで考える:日本の利付国債(長期国債)が再評価される背景 ♯158

長期国債について、詳しくまとめてみました。

「物価上昇に負けない運用をしたいが、大きなリスクは取りたくない」というジレンマを感じる方は少なくないでしょう。これまでインフレ対策の定番とされてきたのは、ドル建て国債、高配当の国内株式、全世界株式インデックスファンドなどでした。ただしいずれも価格変動リスクや為替リスクを伴い、元本が目減りする可能性があるため、踏み出せない人も多かったはずです。そこで改めて注目されているのが、円建てで満期保有なら元本が確保される日本の利付国債です。個人が買える国債は「個人向け国債」だけと思われがちですが、利付国債にも2年・5年・10年の満期があり、最低5万円から5万円単位で購入できます。

長期金利上昇で変わった利回り水準と、必要な運用元本の考え方

ここ数年の長期金利はおおむね上昇傾向で推移し、「長期金利が2%を突破」という報道も見られました。2026年にさらに上昇するという見方もありますが、これは予測であり確定した話ではありません。10年物の表面利率は長期金利と連動するため、仮に2.1%なら、約20%課税後の実質利回りは約1.673%。1,000万円の運用で年間約16.7万円の利子収入という計算になります。「1.673%では物価上昇率3%に追いつかない」と感じるのは自然ですが、生活費ベースで見ると印象は変わります。総務省の家計調査による2人以上世帯の月間消費支出は約30万円(2024年)で、年間360万円に3%を掛けたインフレ負担増は約10.8万円。これを利子でカバーするのに必要な元本は10.8万円÷1.673%=約645万円という試算になります。あくまで一定の前提を置いた計算であり、実際の金利や物価、税制によって結果は変わる点にご注意ください。

途中換金と実質価値の目減り:購入前に比べるべき5つのチェック項目

利付国債の強みは、満期まで保有すれば元本が確保されるため、利回りの低さを運用額で補う戦略が成り立つことです。同じことを外貨建て資産で行えば為替リスクが拡大し、株式なら価格変動リスクが膨らみます。一方で注意点もあります。満期前に途中換金すると元本割れの可能性があり、基本的には10年間動かさない余裕資金で取り組むのが無難です。急な出費が生じた場合は、国債を担保に金融機関から借り入れる選択肢もあるとされていますが、条件は金融機関ごとに異なります。また、インフレが長期化すれば元本自体の実質価値が目減りする点も忘れてはいけません。購入先を選ぶ際は、目安として①取扱商品の種類(利付国債・個人向け国債の両方を扱うか)、②購入手数料や口座管理費、③中途換金時の取扱い、④購入単位と申込方法(オンライン対応か)、⑤担保貸付などの付随サービス、という5点を比べると判断しやすくなります。

まずは自分の家計から:インフレ負担額を試算する具体的な進め方

始め方としては、①家計簿や通帳から年間支出額を把握する、②想定する物価上昇率を掛けて年間の負担増を概算する、③その金額を利子でカバーするには何円必要かを逆算する、④その資金を10年間使わずに置けるか確認する、という順序が現実的です。金利や商品条件は変動するため、最新の利率や募集内容は財務省や各金融機関の公式情報で必ず確認してください。株式や外貨だけがインフレ対策ではありません。まずは今日、ご自身の年間支出と「使わずに置ける資金」を書き出してみるところから始めてみてはいかがでしょうか。判断に迷う場合は、複数の金融機関の条件を比較したうえで、必要に応じて専門家への相談も検討してみてください。

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