事実婚でも遺族年金はもらえる?相続との違いと受給要件 ♯355

婚姻届を出さずに暮らす事実婚を選ぶカップルが増えています。ただ、パートナーが亡くなったときの扱いは「相続」と「遺族年金」で大きく違うことをご存じでしょうか。相続では配偶者として扱われない一方、年金制度では一定の要件を満たせば受給できる可能性があります。いざというときに困らないよう、違いと要件を整理しておきましょう。

事実婚と遺族年金、相続との違い

相続できないって本当?

多くの人が見落としがちな落とし穴があります。事実婚のパートナーは民法上の「配偶者」に含まれないため、法定相続人にはなれず、遺留分(一定の相続人に保障された最低限の取り分)もありません。

年金では配偶者に含まれる

一方、年金制度では「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者」も配偶者に含まれます〔国民年金法第5条第7項・厚生年金保険法第3条第2項に基づく〕【要ファクトチェック】。そのため、要件を満たせば遺族基礎年金や遺族厚生年金を請求できます。

相続と遺族年金の比較

項目法律婚事実婚
法定相続人なれるなれない
遺留分ありなし
遺族年金要件を満たせば受給可要件を満たせば受給可

→ 相続の基本は【内部リンク:法定相続人と相続割合の基礎知識】で確認できます。

事実婚で遺族年金を受け取る要件

「事実婚」を証明できますか?

受給するには、まず事実婚関係と認定され、さらに生計維持関係が認められる必要があります。

主な要件の目安

区分主な内容
事実婚関係の認定夫婦として暮らす合意と、実際の共同生活がある(近親婚は原則対象外)
生計同一住民票上の同一世帯・同一住所、または別居でも仕送りや定期的な訪問がある
収入遺族の前年収入が年850万円未満、または所得が年655.5万円未満

〔出典:日本FP協会作成資料をもとに再構成〕

受給額の簡易試算

子が1人いる事実婚のパートナーが受け取るケースの一例です。

項目年額の目安
遺族基礎年金(子の加算含む)約107万円
遺族厚生年金(報酬比例部分 年80万円×3/4)約60万円
合計約167万円

※2025年度の年金額をもとにした概算です【要ファクトチェック】。加入期間や収入、子の有無によって異なり、個人差があります。なお、遺族基礎年金は「子のある配偶者」が対象です。

→ 詳しくは〔出典:日本年金機構「遺族年金」〕でご確認ください。

重婚的内縁関係の扱い

戸籍上の配偶者がいたら?

戸籍上の配偶者がいる人と内縁関係にある「重婚的内縁関係」では、原則として法律上の配偶者が優先されます。

特例が認められる条件

戸籍上の婚姻が実体を全く失っている場合に限り、内縁のパートナーが認定されることがあります。

  • 離婚の合意のうえで別居し、届出だけしていない
  • 共同生活がない状態がおおむね10年以上続いている
  • 住居が別で、経済的な依存や音信・訪問もない

慎重な調査が行われる

日本年金機構などは戸籍上の配偶者にも婚姻実態を確認するため、認定まで時間がかかる可能性があります。

今からできる備え

今すぐできる3ステップ

  1. 住民票を同一世帯にし、続柄を「夫(未届)」「妻(未届)」とする
  2. 遺言書を作成し、財産を遺贈できるようにする
  3. 生命保険の受取人に指定できるか保険会社に確認する

準備の有無で変わること

場面Before(準備なし)After(準備あり)
年金請求関係の証明に手間取る住民票などで示しやすい
財産受け取れない遺言で遺贈を受けられる
生活資金収入が途絶えやすい保険金で備えられる

なお、遺贈を受けた事実婚のパートナーは相続税の配偶者控除が使えず、税額の2割加算の対象になります。

制度改正にも注意

2025年6月成立の年金制度改正法では、遺族厚生年金の男女差解消や、子のない配偶者への有期給付化が盛り込まれ、2028年4月から段階的に施行される予定です【要ファクトチェック】。

→ 遺言書は〔出典:法務省「自筆証書遺言書保管制度」〕も活用できます。

よくある質問

Q. 同性パートナーも対象?

A. 2024年3月の最高裁判決で、犯罪被害者給付金について同性パートナーも対象になり得ると判断されましたが、遺族年金の扱いは今後の動向を確認する必要があります【要ファクトチェック】。

Q. 請求期限はありますか?

A. 年金を受け取る権利は原則5年で時効となるため、早めの手続きがおすすめです。

まとめ

  • 事実婚のパートナーは相続人になれないが、遺族年金は受給できる可能性がある
  • 事実婚関係の認定と生計維持の要件を満たすことが前提
  • 重婚的内縁関係は、婚姻が実体を失っている場合に限り特例あり
  • 住民票・遺言書・生命保険で今から備えられる

まずは住民票の続柄を確認し、必要に応じて遺言書の作成を検討してみてはいかがでしょうか。生命保険で備えたい方は、事実婚パートナーを受取人に指定できる保険会社の条件を公式サイトで比較するのも選択肢の一つです。ただし、審査や必要書類は会社ごとに異なるため、事前に確認しましょう。【PR】

→ 保険の選び方は【内部リンク:事実婚カップルの生命保険の選び方】もあわせてご覧ください。
→ 専門家への相談は【内部リンク:FPに無料相談するときのポイント】が参考になります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の受給可否を保証するものではありません。最新情報は厚生労働省・日本年金機構の公式サイトをご確認ください。

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