「振込額=手取り」は大きな勘違い
家計の計画を立てるうえで土台になるのが「手取り年収」。会社員にはおなじみの言葉ですが、実は正しく理解している人は意外と少ないのです。FP向けの研修でクイズを出しても、正解者のほうが少数派でした。
「手取りって、毎月の給与12カ月分とボーナスの振込額でしょ?」——そう思った方、残念ながら不正解です。給与やボーナスの振込額には、財形貯蓄や生命保険料、組合費などが天引きされていることが多く、手取り年収とは一致しないのです。
では、年末にもらう源泉徴収票に手取り年収は書いてある? これもよくある誤解。「給与所得控除後の金額」を手取りだと思い込む人が多いのですが、源泉徴収票に手取り年収の記載はありません。正確に知るには、自分で計算するしかないのです。
手取り年収の計算式はシンプル
会社員・公務員の場合、考え方はとても明快です。
年収 −(社会保険料 + 税金)= 手取り年収
FP的にいう「可処分所得」です。社会保険料には厚生年金・健康保険・雇用保険・介護保険料(40歳以上)が含まれ、税金は所得税と住民税。これらを差し引いて残った額が、家計で実際に使えるお金になります。
源泉徴収票を使えば、次の4つを拾うだけで計算できます。
- 年収:①「支払金額」
- 社会保険料:⑤「社会保険料等の金額」(iDeCoやマッチング拠出が上段にある場合は差し引く)
- 所得税:④「源泉徴収税額」
- 住民税:「(②給与所得控除後の金額−③所得控除の合計)×10%」で目安が出せます
たとえば年収400万円・社会保険料58万円・所得税6万円・住民税12万円なら、手取りは約324万円。計算は千円単位を四捨五入したざっくりでOK。「だいたいいくら」がつかめれば十分です。
覚えておくと便利な「8割の法則」
会社員・公務員の手取りは、ざっくり税込年収の約8割が目安。年収400万円なら約320万円、500万円なら約400万円といった具合です(独身は700万円前後から、扶養家族がいる人は800万円前後から75%ほどに下がります)。
これを知っておくと、転職や異動で給与が変わったときも、提示額からすぐに手取りをイメージできます。家計には毎月の出費だけでなく、帰省費・固定資産税・旅行など年単位の支出もあるもの。だからこそ「1年で本当に使えるお金」を把握することが、賢い家計管理のスタートになるのです。
実際に計算してみると、「思ったより使えるお金がある!」と前向きになる方が大勢いらっしゃいます。制度は毎年変わります(令和7年は基礎控除の引き上げで多くの人の手取りが年2万円ほど増える見込み)。だからこそ手取りを知り、自分の払う税金や社会保険料に関心を持つことが、家計を整える第一歩になるはずです。

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