「老後の生活費、年金だけで本当に足りるのだろうか」──
これはリタイア間近の世代だけでなく、20代・30代にとっても無関係ではない問題です。
総務省の家計調査データをもとに、年金生活世帯のリアルな収支バランスを見ていきましょう。
毎月の赤字は約7.5万円、でも実態は少し違う
世帯主が無職(=年金生活者)の家庭における平均的な支出は月約24.0万円。
これに対して年金収入は月約16.5万円にとどまり、単純な差し引きで
毎月7.5万円の不足が生じる計算になります。
ただし、実際の赤字額は月約3.8万円(年間約46万円)。
つまり、不足分の半分程度は年金以外の収入源でカバーできているということです。
では、その内訳はどうなっているのでしょうか。
年金以外の収入源トップ3
第1位:保険金・企業年金・配当などの財産収入(月約3.9万円)
内訳は保険金が約1.8万円、企業年金が約1.6万円、利息・配当が約0.5万円。
現役時代にコツコツ積み立てや運用を続けてきた成果が、老後に花開いている形です。
第2位:家族の就労収入(月約2.0万円・税引き前)
配偶者や同居する子どもがパートなどで得ている収入も、家計を支える柱の一つになっています。
第3位:不動産・内職・事業収入(月約0.5万円)
金額としては大きくないものの、自営業の経験や賃貸物件を持っている方にとっては
貴重な上乗せ分です。
これら3つを合計すると月6.4万円ですが、税金等を差し引いた手取りベースでは
月約3.7万円。年金の不足7.5万円からこの3.7万円を引いた残り約3.8万円が、
貯蓄の取り崩しで補われているというのが実態です。
20年間で約920万円の取り崩し
仮に65歳から85歳まで年金生活を送ると想定すれば、年間約46万円×20年で
累計およそ920万円の貯蓄を切り崩す計算になります。
「老後2,000万円問題」ほどのインパクトではないものの、決して小さくない金額です。
年齢が上がると支出は減る傾向に
一つ明るい材料もあります。家計調査を見ると、年齢が上がるにつれて消費支出は
緩やかに減少する傾向が確認できます。体力的な活動量が落ちることで、
交際費やレジャー費が自然と縮小し、年金でまかなえる割合が高まっていくのです。
一方で注意が必要なのが、定年直後の数年間。年金が満額支給される前に
給与が減っているにもかかわらず、現役時代の消費習慣をなかなか変えられず、
赤字が膨らみやすい時期とされています。
今からできる備えとは
最近は65歳以上の就業者数が年々増加しており、「年金+労働収入」で
不足を補うスタイルは一般的になりつつあります。さらに余裕があれば、
配当収入や不動産収入といった「お金に働いてもらう仕組み」を若いうちから
準備しておくのも有効な選択肢でしょう。
大切なのは、将来の数字をざっくりでも把握し、早めに手を打つこと。
年金生活の家計は工夫次第で赤字幅を大きく縮められます。
まずは自分の年金見込額を確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。

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