20歳を迎えると、たとえ学生であっても国民年金への加入義務が発生します。
とはいえ、在学中に毎月の保険料を支払うのは現実的に厳しいもの。
そんな学生を支えるのが「学生納付特例制度」です。
しかし、この制度を利用したまま”放置”してしまうと、将来の年金額に
大きく響く可能性があります。
学生納付特例制度の基本を整理
この制度は、学生本人の所得が一定基準以下(前年所得128万円+
扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等)であれば、在学中の保険料納付を
猶予してもらえる仕組みです。大学・大学院・短大・専門学校など幅広い教育機関が
対象になっています。
押さえておきたいのは、猶予=免除ではないという点。
特例が承認された期間は年金の受給資格を得るための「加入期間」には
カウントされますが、保険料は未納のまま。
つまり、老齢基礎年金の金額には一切反映されません。
将来受け取れる年金がその分だけ減ってしまうわけです。
追納制度を活用すれば年金額を取り戻せる
卒業して収入を得られるようになったら、猶予期間分の保険料を
さかのぼって納める「追納」が可能です。
追納できる期限は10年以内で、納付した分はしっかり年金額に反映されます。
ところが、厚生労働省の2024年12月の発表によると、実際に追納している人は
わずか8.9%。制度自体を知らない、あるいは後回しにしているうちに
期限を過ぎてしまうケースが非常に多いのが現状です。
追納のタイミングで金額が変わる——ここが最大の注意点
追納を検討するなら、できるだけ早く動くのが鉄則です。
その理由は「加算金」の存在にあります。
- 承認を受けた翌年度までに追納 → 加算金なし(当時の保険料額のまま)
- 3年度目以降に追納 → 当時の保険料に加算額が上乗せされる
つまり、先延ばしにすればするほど余計なコストが発生するということ。
社会人になって落ち着いたら、なるべく早めに手続きを進めるのが賢明です。
さらに、10年の期限を1カ月でも過ぎると、その月分は追納不可になります。
たとえば2015年4月〜2016年3月に特例承認を受けた人が2025年10月末に
追納申請した場合、追納できるのは2015年10月分以降のみ。
4月〜9月の6カ月分は永久に取り戻せなくなります。
期限を過ぎても諦めなくていい
「もう10年過ぎてしまった…」という方にも救済策はあります。
60歳以降に国民年金の任意加入制度を利用すれば、不足分を補って年金額を
増やすことが可能です。
また、60歳以降も会社員として厚生年金に加入し続ければ、基礎年金部分の
上積みも期待できます。
学生時代の納付特例は非常にありがたい制度ですが、そのまま放置してしまうと
将来の年金が目減りするリスクと隣り合わせ。
「猶予されただけで、免除されたわけではない」——
この認識を持ち、社会人になったら早めの追納を検討してみてください。

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