「インフレに負けない運用をしたいけど、リスクは取りたくない」——
物価上昇が家計を圧迫する昨今、そんなジレンマを感じている方は多いのではないでしょうか。
これまでの定番はリスク資産だった
インフレ対策の運用先としては、ドル建て国債、高配当の国内株式、
全世界株式インデックスファンドなどが定番でした。
しかし、いずれも価格変動リスクや為替リスクがつきもの。
元本が目減りする可能性があるため、二の足を踏む方も少なくなかったはずです。
では、円建てで元本が安定しており、それなりの利回りが期待できる商品は
存在しないのでしょうか。
そこで今、改めて注目を集めているのが日本の利付国債(長期国債)です。
長期金利は2%超えの水準に
ニュースなどで「長期金利が2%を突破」という見出しを目にした方もいるかもしれません。
実際、ここ数年の長期金利はほぼ右肩上がりで推移しており、2026年には
さらに上昇するとの見方も出ています。
個人が購入できる国債というと「個人向け国債」を思い浮かべがちですが、
実は利付国債も購入可能です。2年・5年・10年の満期があり、最低5万円から
5万円単位で買えます。10年物の表面利率は長期金利と連動しており、
仮に2.1%であれば、税引き後(約20%課税)の実質利回りは約1.673%。
1,000万円の運用で年間約16.7万円の利子収入が得られる計算です。
物価上昇率3%に「割り負け」でも対策は可能
「利回り1.673%ではインフレ率3%に追いつかないのでは?」と感じるのは
自然な反応です。確かに利率だけ見れば物価上昇に負けています。
しかし、実際の生活費ベースで考えると、見え方が変わってきます。
総務省の家計調査によると、2人以上世帯の月間消費支出は約30万円(2024年)。
年間360万円に物価上昇率3%をかけると、年間のインフレ負担増は約10.8万円です。
この負担を長期国債の利子収入でカバーするために必要な運用元本は、
10.8万円÷1.673%=約645万円。つまり、645万円程度を長期国債で運用していれば、
インフレによる生活費の増加分は利子収入で賄える計算になります。
「元本を増やせる」のが国債の強み
ここで重要なのは、国債は満期まで保有すれば元本が確保されるという特性です。
利回りが低い分だけ運用額を増やすことでインフレ負担をカバーする——
この戦略は、元本が安定していなければ成り立ちません。
外貨建て資産で同じことをすれば為替リスクの露出が拡大し、株式なら
価格変動リスクが膨らみます。安心して運用元本を積み増せる点こそ、
長期国債ならではのメリットといえるでしょう。
注意点も押さえておきたい
もちろん万能ではありません。10年の満期を迎える前に途中換金すると
元本割れのリスクがあります。基本的には余裕資金で、10年間じっくり寝かせる前提で
取り組むのが賢明です。どうしても急な出費が生じた場合は、国債を担保に
金融機関から借り入れるという選択肢も残されています。
また、インフレが長期化すれば元本自体の実質価値が目減りする点も
頭に入れておく必要があります。
株式や外貨だけがインフレ対策ではない時代に入りつつあります。
リスクを抑えながら物価上昇に備えたい方にとって、利付国債は
検討に値する選択肢ではないでしょうか。

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