インボイス経過措置|2026年10月から7割控除 ♯316

「今まで通り免税事業者と取引していると、実は納税額が増えていませんか?」インボイス制度の仕入税額控除には経過措置があり、2026年10月から控除割合が縮小します。本記事で変更内容と対策を解説します。

インボイス制度と仕入税額控除の仕組み

多くの人が知らない、免税事業者との取引に潜む落とし穴について解説します。

仕入税額控除とインボイスの関係

2023年10月に開始されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、軽減税率導入により生じた複数税率(8%と10%)に対応し、消費税の計算を適正に行うための仕組みです。消費税は、売上時に預かった税額から仕入れ・経費で負担した税額を差し引いて納付しますが、この差し引く仕組みが仕入税額控除です。インボイス制度では、売手が発行するインボイス(適格請求書)を保存することで、初めてこの控除が適用されます〔出典:国税庁「インボイス制度特設サイト」〕。

免税事業者との取引で生じる課題

インボイスを発行できるのは、事前登録を受けた適格請求書発行事業者(課税事業者)に限られます。そのため、免税事業者からの仕入れに対しては原則として仕入税額控除を受けられません。ただし、取引への影響を緩和するため、一定期間は例外的に控除できる経過措置が設けられています。

経過措置の控除割合と縮小スケジュール

「もし免税事業者と取引を続けているなら」、今すぐ確認すべきスケジュールを整理しました。

段階的に縮小する控除割合

仕入税額控除の経過措置は、以下のように段階的に縮小していきます。

  1. 2023年10月1日〜2026年9月30日:仕入税額相当額の8割控除
  2. 2026年10月1日〜2028年9月30日:仕入税額相当額の7割控除
  3. 2028年10月1日〜2030年9月30日:仕入税額相当額の5割控除
  4. 2030年10月1日〜2031年9月30日:仕入税額相当額の3割控除
  5. 2031年10月1日以降:控除なし

〔出典:国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」〕※2024年時点の制度内容です。最新情報は国税庁公式サイトでご確認ください。

負担増加のシミュレーション例

例えば、免税事業者から消費税込み11万円(税抜き10万円、消費税1万円)の仕入れを継続的に行っている場合を考えます。

期間控除割合控除額買手の自己負担増加分
〜2026年9月8割8,000円2,000円
2026年10月〜7割7,000円3,000円

※あくまで一例であり、実際の負担額は取引内容や契約条件により異なります。取引件数が多いほど、この差額の影響は大きくなる可能性があります。

企業が今すぐ取るべき対策

実は年間の納税額で損をしていませんか? 早めの対策で負担増加を抑えられる可能性があります。

取引先の状況を確認する

まずは、現在の取引先に免税事業者がどの程度いるか、適格請求書発行事業者への登録予定があるかを確認しましょう。取引条件や価格設定について話し合う際は、以下の点に注意が必要です。

  • 買手側が一方的に消費税相当額の単価引き下げを通告することは避ける
  • 「インボイス登録をしなければ取引停止」と一方的に迫らない
  • 双方が納得のいく形で協議を行う

こうした行為は、独占禁止法上の「優越的地位の濫用」や、下請中小企業振興法関連の取適法(下請代金支払遅延等防止法等)に抵触するおそれがあります〔出典:公正取引委員会「インボイス制度関連の注意事例」〕。

経理システムの対応状況を確認する

自社の経理システムが2026年10月からの7割控除に対応した自動計算を行えるかどうかも、事前に確認しておきたいポイントです。対応が不十分な場合は、早めにシステムの更新や会計ソフトの見直しを検討しましょう。

まとめ

  • 仕入税額控除の経過措置は2026年10月から8割→7割へ縮小する
  • 免税事業者との取引が多いほど、自己負担の増加幅が大きくなる可能性がある
  • 取引先への価格交渉は独占禁止法・取適法に配慮し、双方合意のもとで行う
  • 経理システムが新しい控除割合に対応できるか、早めに確認しておく

自社の取引先やシステムの対応状況を、この機会に一度見直してみてはいかがでしょうか。

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